【ウィーン/広島IDN=タリク・ラウフ】
核軍備管理の崩壊
残念なことに、世界から核兵器をなくすというビジョンは、この半世紀に渡って地道に築き上げてきた核軍備管理の枠組みが私たちの目前で音を立てて崩れていく中で、後退していっている。
1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)は未発効であり、核爆発実験が再開されパンドラの箱が再び開けらる危険性さえ出てきている。またCTBT支援国は2008年に大きな失敗を犯している。当時、インドが核技術と核分裂性物質を購入することを可能にする「例外扱い」について協議された際、核不拡散の規範に拘束されないインドに対して、1998年の国連安保理決議1172と、原子力供給国グループ(NSG)の「ガイドライン」に従ってCTBT加入を要件にすべきだったにも関わらず、例外扱いを認めてしまった。